コロンビアに住んでいるとレゲトンを全く聞かない日はない。
レストランで流れてるレゲトン、近所の家から漏れ聞こえるレゲトン、クラブで流れてる音楽もレゲトン
最初はやかましいだけの音楽と思っていたレゲトンも毎日聞いている不思議と好きになってくる。
今ではレゲトンを好んで聞くようになった。そしてコロンビア現地の人々に混ざってレゲトンを踊るようにもなった。
「あなたのペレオはサボール(味)がある」とまで言われるようになった。
今回、レゲトンとはそもそも一体何なのか、そして最高に乗れるレゲトンの神曲をまとめた。
レゲトンー米国とラテンカルチャーの邂逅
レゲトンの発祥は1991年カリブ海のアメリカ自治領プエルトリコの湾岸都市サンフアンだ。
プエルトリコ人のDJ NelsonとDJ Playeroがヒップホップに影響を受けてスペイン語でラップをし始めたところ若者の間で人気が出始めた。
ただし当時はメジャーではないアンダーグラウンドな音楽であった。
レゲトンが音楽ジャンルとし広く認知されたのは2004のN.O.R.E.(ノリエガ)のOye Mi Cantoの大ヒットだ。
N.O.R.E.は米国のラップ/ヒップホップのミュージシャンだが、プエルトリコ人の母を持っていた。自身のルーツでもあるプエルトリコで流行しているレゲトンに興味を抱いて自身の音楽に取り入れたのだ。
そしてここにフィーチャリング参加していたのがプエルトリコ人のレゲトン歌手のダディー・ヤンキーだ。ダディーもまた2004年にLa Gasolina をリリースして大ヒットとなった。La Gasolina はクラブで今でもたまに流れるくらいの大ヒット曲だ。
そしてレゲトンと言えばダンスである。レゲトンはダンスのための音楽であると言っても過言ではない。以降ではレゲトンで踊るダンスについて解説する。
レゲトンに合わせて踊るPerreo(ペレオ)
コロンビア含む中南米のクラブにおいて流れているレゲトンに合わせて踊るのがPerreo(ペレオ)だ。
Perreo(ペレオ)を初めて観た人はカルチャーショックを受けるだろう。
Perreo(ペレオ)で男は女の子の背後からピタッとくっつき腰を持って踊る。まるで犬の交尾の様だ。スペイン語では犬はPerro(ペルロ)という。ご察しの通りペレオの由来はこのPerroから来ている。
Perreo(ペレオ)はクラブにおいてかなりカジュアルに踊られており踊った後はお互い何もなかったかのようにスッと離れる。
密着度から「もしやこの子俺に気があるのかも」と思ってもその女の子は全然気がない。Perreo(ペレオ)はあくまでもカジュアルに踊られているダンスなのだ。
とはいっても人によってはペレオを嫌っている現地人(コロンビア人)もたくさんいることは断っておく。
以降ではペレオしたくなるノリノリになれる曲を紹介する。
レゲトン神曲10選
➀Gasolina(2004年)ダディー・ヤンキー
ダディー・ヤンキーのGasolinaをキッカケにマイナーだったレゲトンは音楽として世界中で認知されるようになった。
パンチのきいたビートで一度聴いたら忘れることができない曲だ。とにかくノレる。
ノレるがゆえ日本含む世界中のクラブでかかった。ダディー・ヤンキーが一躍有名になったキッカケの曲でもある。
歌詞は婉曲的に卑猥だ。Gasolinaは車のガソリンという意味ではなく、お酒、もしくはもっと卑猥な液体という意味でも解釈できる。
➁Dile(2004年)ドン・オマール
ダンディ・ヤンキーと双璧をなすレゲトン界スターのドン・オマールの初期の代表作である。
プエルトリコ音楽特有のトロピカルなリズムがベースとなっておりレゲトンの古典の1つとしてみなされている。
古典と言えども古さを感じさせることなくコロンビアでは今もたまにクラブで流れることがある。
③Lo Que Paso Paso(2009年)ダディー・ヤンキー
これまた我らがダディー・ヤンキーの初期のヒット曲だ。Lo Que Paso Paso(和訳:終わったことは終わった)関係が終わったのにお互いに関係を引きずってる男女の様子を歌っている。
④En La Cama(2001年)ダディ・ヤンキー&ニッキー・ジャム
まだ売れていなかった90年代のダディー・ヤンキーとニッキー・ジャムはプエルトリコでユニットLos Cangrisを結成。2人の若々しい感じが非常に良いw
後に薬物にハマったニッキー・ジャムの素行の悪さにダディ・ヤンキーが愛想をつかしLos Cangrisは解散。
⑤6 AM ft. Farruko(2014年)ジェイ・バルビン
ジェイ・バルビンはコロンビア・メデジン出身のレゲトン歌手。
この6AMは全米ビルボードのホット・ラテン・チャートにおいて2位を獲得。一気に人気が爆発した。ジェイ・バルビンはレゲトン歌手には珍しく真面目な発言が多くコロンビア人から支持されている。
レゲトンの新世代ともいえるだろう。新たな境地を切り開いた。
⑥Piensas En Mi (2012年)ニッキー・ジャム
ダディ・ヤンキーと喧嘩別れとなったニッキー・ジャムはその後、薬物にハマりなかなか抜け出せなくなった。
自身の音楽キャリアも低迷期を迎える。
その後、プエルトリコからコロンビア・メデジンに拠点を移し薬物を断ち切って精力的にライブで演奏するようになった。復活を果たしたヒット曲がこのPiensas En Miだ。
⑦El Perdón(2015年)エンリケ・イグレシアス&ニッキー・ジャム
Piensas En Miでヒットを飛ばし復活を果たしたニッキー・ジャムはさらに勢いに乗っていく。
スペイン人歌手のエンリケ・イグレシアスとのコラボ曲El Perdonは大ヒットとなった。かつての恋人が結婚し遠くに行ってしまったことを悲しむ男の心境を歌っている曲。
⑧Criminal(2014年)ナティ・ナターシャ&オズナ
ドミニカ人歌手のナティ・ナターシャとプエルトリコ人歌手のオズナのコラボ曲。
ナティ・ナターシャはラテンにおけるリアナみたいな存在だ。オズナは最近人気急上昇のレゲトンやトラップの歌手。
Criminal(犯罪)というフレーズを繰り返す単純な歌詞なのだが頭にしみついて離れない。
⑨Corazón(2017年)マルマ
コロンビア・メデジン出身の歌手マルマ。フィーチャリングしているのはブラジルのポップス歌手Nego Do BoreCorazon。途中ブラジルの歌詞も入ってくる。
⑩Calma(2018年)ファルコ&ペドロ・カポ
ポップスとレゲトンが見事な調和で融合している。
世界を席巻するレゲトン
YouTubeで最も再生されている音楽はDespacitoだ。再生回数は62億回に迫っている。ポップスを基調とした曲だがレゲトンのリズムも取り入れられている。
今後、レゲトンの影響力はますます強まっていくだろう。