ヤバすぎ
麻薬王とテック企業の創業者には共通点があります。
それは自社(≒組織)で販売している商品は決して自分の子供には使わせなかったことです。
・有名な麻薬王らはみな揃って「コカインは吸ったらだめ」と子供に言い聞かせていた。
コカインだけは絶対に止めとけ。人生破滅するぞ。
・アップル創業者のスティーブ・ジョブスはじめテック企業幹部はスマホやタブレットを自分の子供に使わせない。
スマホは使ったらだめ。
コカインにせよ、デジタルデバイスにせよ、その中毒性の危険性の高さを知っていたからでしょう。
とはいえ何が危険なのかって言ってもピンとこないものですよね。
スマホに貼り付くのは止めなさい!SNSやめなさい!時間が無駄になるよ!
と他人から説教されて止めれるほど簡単でもないですし。
うっせえんだよ。うぜえ。
てなりますよね。
かくいう筆者自身、一時期SNSにのめり込んでいまして1日に2、3時間ほどSNSに熱中していたこともあります。
塵も積もれば山となる。1年に換算すれば800~1000時間ほどSNSに消費していたことになります。
1000時間を他の行動に充てると何が起きるのかイメージしてください。
1000時間をプログラミング学習に充てるとITエンジニアになれます。
1000時間を英語学習に充てるとTOEICスコア900点は普通に超えます。
1000時間をブログに充てると100記事書けます。推定収益月10万円狙えます。
1000時間を筋トレに充てるとムキムキになります。
1000時間をナンパに充てると良いことが沢山あります。
何より時間だけでなくSNS上では色々な罵詈雑言なども目に入ってくるわけで精神的に疲れます。
私自身、SNS中毒だった時はこの心的リソースの消耗がかなりのものだったと思ってます。
正直、筆者はSNS中毒からもっと早めに抜け出さなかったのを後悔してます。
とはいえ現代社会においてSNSは欠かせないツールになっています。
インフルエンサーの人にもよくフォロワー○○万人とブログ記事に書いてるのを見かけます。
その最大の目的はSNSのフォロワーが一種の人気の証明になるからですよね(これが悪いと言ってるわけではありません)
信用が価値を持つという「信用経済」もパワーワードにもなりました。その流れでSNSで信用を蓄積しようという主張が流行ったのは記憶に新しいです。
かつて私もSNSにのめり込んでまして1日に数時間もの時間を消費していたこともあります。SNS中毒者でした。
しかしながらふとした瞬間、「俺、SNSに憑りつかれてるんじゃねーか?」と思ったんですね。
自分の有限な時間とさらに前までは読書や映画鑑賞などに使っていたはずの興味関心をSNSに注ぎ込んでいる自分に気づきました。
これ中毒になるだけの価値あんの?
と純粋に思いました。
答えは圧倒的にNOでした。
もしかるするとフォロワーが沢山いる人ならそれ相応の経済的、社会的な利用メリットもあるかもしれません。
ただ私の場合、別にフォロワーも多くないですしハマるだけのメリットはないと判断しました。
私は仕事の都合上、SNSでのつながりも重要ですし定期的に発信することも重要だと考えています。
そのため現在もSNSの利用は続けています。しかしSNS中毒にならないように周到な対策を打ったうえで使用しています。
言うまでもなくSNSはメリットもたくさんあります。が一歩踏み外すと中毒になりやすいのがSNSです。
SNSを運営するテック企業は巨額の資金をつぎ込み超絶頭脳のマーケターやエンジニアを抱え込み人間の脳の仕組みをハックし習慣に入り込んできます。
これに対抗するのは簡単ではありませんが知恵を絞れば可能です。
本記事は「SNS中毒は嫌だし治したい、上手くSNSと付き合いたい人」に向けて書いています。
私がSNS中毒を解毒した方法、上手くSNSと付き合う方法を解説します。少しでも参考になれば幸いです。
本記事執筆にあたり参考にした書籍一覧
・『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す』ニール・イヤール
・『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか 』デイヴィッド・J・リンデン
・『僕らはそれに抵抗できない』アダム・オルター
・『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』ジェームズ・クリアー
・『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』カル・ニューポート
私のSNS中毒症状とは
私が中毒化したのは特にTwitterでした。
その時の中毒症状はこんな感じです。
ツイートを投稿します。
↓
「いいね」がついてないか気になって気になってしょうがなくなります。
↓
投稿10分後に「いいね」ついてないか確認しにTwitterを開く
↓
投稿30分後に「いいね」ついてないか確認しにTwitterを開く
↓
投稿1時間後に「いいね」ついてないか確認しにTwitterを開く
↓
投稿2時間後に「いいね」ついてないか確認しにTwitterを開く
気づいたら頻繁にTwitterを開くようになったんですよね。
特に意味もなくと
なんか面白いツイートないかな?
スクロールし続けるようになったのです。
SNS中毒だった当時は1日2時間以上もTwitterに時間を費やしていたかもしれません。
人間は誰しも他の人から認められたいという承認欲求がありますよね。これは人間性の本質でしょう。
SNSはまさにその承認欲求を上手く突いたビジネスなのだと思います。
でもパチンコ中毒やニコチン中毒と比較するとSNS中毒は誰にも叩かれてませんよね。
だからこそSNS中毒はよりタチが悪いと思います。SNSには人間の脳の報酬系をハックするテクニックがサービスの至る所に多用されています。
私はこのSNSの中毒性をもたらす性質に自覚的でないとSNS中毒になるのは避けようがないとすら考えるようになりました。オーバーと言われそうなのは承知なのですが…
以降ではその報酬系をハックする仕掛けについて見ていきます。
SNS中毒になる理由、原因-パチンコ中毒と似てる?
SNS中毒になる理由は何なのでしょうか?
SNS中毒の理由を知るにはまずは習慣形成について理解を深める必要があります。
習慣とは「いつの間にか自動的に行っている行動の事」です。
私がそうだったのですが自分では意識していないのにいつの間にかスマホでTwitterを開いていることありますよね。
これはもうTwitterが習慣になっているからです。
それでは習慣が形成されるプロセスはどんなものなのか。
習慣化形成プロセスは「きっかけ、欲求、反応、報酬」という4つのステップに分かれます。
①きっかけ
報酬を予感させる僅かな情報のこと。
<パチンコなら>パチンコ屋の台の音。
<Twitterなら>「いいね!」の通知。
↓
②欲求
<パチンコなら>賭けごとに勝った時の興奮
<Twitterなら>他人から「いいね!」され認められる承認欲求。
↓
③反応
<パチンコなら>パチンコを打ちにいく。
<Twitterなら>スマホを手に取りTwitterを開いて「いいね!」や通知を見る。
↓
④報酬
<パチンコなら>景品もらえる。
<Twitterなら>「いいね!」や通知を見て承認欲求が満たされる。
SNSのいいねと承認欲求が結びつくようになる。承認欲求を満たすという報酬を得たいのでSNSを何度もみるようになる。
SNSはある種、人間の習慣を形成する核となる「報酬系」をハックし中毒化することで人気のツールとなったと言うこともできます。
SNSは報酬系をハックしている
報酬系に作用する主な神経伝達物質は「ドーパミン」です。
コカインなどの麻薬もこのドーパミンを分泌させる働きがあります。だから止めれないんですよ。
ドーパミンは腹側被蓋野のドーパミン作動性ニューロンによって生成されます。
ドーパミンが前頭前野や前帯状皮質に放出されると「気持ちよい」という快感が生まれてこれが人間にとっての報酬となります。
脳はこの気持ち良い快感が生まれた時の行動を認知してその行動を強化するようになります。
さらに、このドーパミン分泌による快楽、報酬の効果を最大化するのが不確実性(ランダム性)です。
スロットなどはこの不確実性を活用したビジネスですね。
スロットマシンは、「変則報酬」を表す現実の世界でもっともいい例と言える。ときどき大当たりするが、その間隔は予想できない。
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
報酬が得られるペースはさまざまである。この変則性が大量のドーパミン放出を促し、記憶を強化し、習慣形成(依存)を早めることになる。
不確実性、ランダム性が高い報酬は中毒化しやすいことを示す実験もあります。
変則報酬は偶然に発見された。
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
ある日実験室で、有名なハーバード大学の心理学者B・F・スキナーが実験していると、固形のエサが不足してきた。でも、もっと作るには時間がかかる。このため彼は、「なぜラットがレバーを押すたびに強化する必要があるのだろう」と思うようになった。
そこで、ラットに断続的に褒美のエサを与えることにした。すると驚いたことに、エサが出たり出なかったりしても、レバーを押す行動は減るどころかむしろ増加した。
恋愛でもランダムな気まぐれな動きをする人がモテると言われてますがこれも不確実性を突いたテクニックともいえるかもしれません。
パチンコもそうですよね。絶対に勝てると分かってたらハマらないです。勝てるか勝てないかの不確実性があって勝てた時の快感が強いからハマるのです。
SNSであれば「いいね」をもらえるのか、それともスルーされるのか。
これは投稿してみないと分かりませんよね。
SNSはこの不確実性と「他の人に認められたい」という承認欲求とが掛け合わさってるだけに無茶苦茶に中毒性が強いんですよね。
SNS中毒の治し方、対策
ここからは私自身がSNS中毒を解毒した方法を書いていきます。
私の場合はSNSは仕事上、発信する必要もありますし仕事関係者とはつながりたいのでアカウントは削除せず制限を加えて使用しています。
①スマホのSNSアプリは削除
スマホのSNSアプリとブラウザはすべて削除します。そしてスマホは常に電源を切った状態にして鞄の底に沈めます。また必要が無ければスマホは持ち歩かないことも多いです。
家のパソコンでのみSNSを使うようにします。これだけでもSNSを使う頻度はぐっと減ります。
②報酬系をハックされないように対策
さらにSNSが不確実性と承認欲求を突いて報酬系をハックしにかかっていることが分かっているのでそれに対する対策をしていきます。
クローム拡張機能のHide likesを使います。
この拡張機能を使うとSNS上のlikeが見えなくなります。Twitterだとリツイートやフォロワー数も見えなくなります。
いいね、リツイート、フォローされたか分からず承認欲求を刺激されることがなくなりますので投稿する時以外はTwitterを見ることもなくなりました。
ただ月に数回だけ知り合いのタイムラインは見ていますしやり取りも継続しています。
SNSの良い点だけを最大化することができていると感じます。
SNS解毒して時間とゆとりが生まれた
本来、時間や興味・関心とは有限で貴重なもののはずです。
ローマの賢人セネカの言葉
われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを浪費しついやしているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費されるならば、最も偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている。
人生の短さについて
ドラッカーの言葉
成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。何に時間がとられているかを明らかにすることからスタートする。
プロフェッショナルの条件
次に時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして最後に、その結果得られた時間を大きくまとめる。
時間や興味関心の使い方は人それぞれでしょうから他人がどうこういうことでもないとも思います。
ただSNS登場以前ならSNSに注いでいた時間や興味関心はその他のアクティビティ(読書、友人との交流、創作)に回していたのではないでしょうか。
結構な損失だと個人的には思います。
実際、私自身がSNSの利用制限を加えてからは時間にゆとりができて読書や勉強に費やす時間が増えたのは確かです。
SNS中毒になるのは「怠け者だから」ではない
SNS中毒になるのは「その人が怠け者だから」では決してありません。
前述したようにテック企業は巨額の資金を投じて人間の脳の報酬系をハックする仕組みをサービス上の至る所に張り巡らしています。
SNSを長時間使う人が増えれば増えるほど広告収益が上がるからです。
SNS企業のメインの収益は広告ビジネスから来ています。
タイムラインに流れてくる広告をユーザーにクリックしてもらったり視聴してもらうことで収益を上げているわけです。
Facebookなどになるとテレビ局何て比ではないくらいの莫大な収益となっています。ちなみに2019年のFacebookの売上高は7兆円です。
えっでもあんなちっさな広告でしょ。そんなにお金儲からないんじゃないの?
Facebookはトヨタの数倍の膨大な利益を上げています。
物よりも「人の関心を奪う」ビジネスが現在最も儲かる時代です。これをAttention economy(アテンションエコノミー)と言います。
時間と関心の価値が増しているのです。
GAFAが馬鹿儲けしているのも私たちの手元に常時あって常時ユーザーに広告を見せることができるプラットフォームを握っているからです。テレビよりも莫大な収益が上がるのは必然なのです。
SNS企業のビジネスモデルを否定するわけではありません。
私自身もWebマーケターとして働いておりSNS広告を広告を打つ側として使用することもありますので。
また無料で他の人とつながったり情報を得られるSNSは素晴らしいと思います。
ただSNSに必要以上の時間と興味・関心を奪われていないかには注意すべきではないでしょうか。
本記事が誰かの役に立てば幸いです。
本記事執筆にあたり参考にした書籍一覧
・『Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す』ニール・イヤール
・『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか 』デイヴィッド・J・リンデン
・『僕らはそれに抵抗できない』アダム・オルター
・『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』ジェームズ・クリアー
・『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』カル・ニューポート