自分は孤独だと認めることが幸せにつながる。
孤独を紛らわすでもなく。
一体どういうわけか僕の経験をもとに説明します。
街を歩いているとカップルがウヨウヨ。
ファミレスではサークルが打ち上げでウェーイしてる。
Facebookを見てもBBQで焼肉しながらビール片手にウェーイしてる集団の写真が流れてくる。
でも自分は恋人も頻繁に会う友達もおらず、コンビニエンスストアで買った肉まん片手に夜の街を徘徊。
1人暮らしで家族もおらず寂しい。孤独がつらい。
なんとかして孤独をなくす方法はないのか。
しかし、ちょっと立ち止まって考えてみた。
一見リア充で孤独と無縁に見える人は本当に孤独感を持っていないのか?
普段はウェーイしている人も本音を打ち明けることができる相手がいなかったり失恋したばかりかもしれない。
パートナーがいても「相手が自分の気持ちをわかってくれない」と虚しさを感じている人もいるんじゃないだろうか。
みんながみんな程度は違えど何らかの孤独を抱えている。
私たち人間はお互いを完璧に分かり合えるはずもなく、そこに孤独感が生まれる。
人間は本質的には孤独
そう気づいてから僕は何だか楽になりました。
そして、途端に食いかけの肉まんの肉汁が強烈に美味しく感じられたことを覚えています。
みんな孤独なのだと考えると久しく会っていない友達を誘ってカラオケに行こうという気になりました。
肉まんをお土産に。
誘ってみると、案外とみんな暇にしていました。
孤独なのは自分だけじゃないんです。みんな孤独なんです。
だからこそ私たちは共感しあえるんじゃないでしょうか。
そもそも私たち人間は生きのびるために孤独感を獲得してきました。
孤独とは何なのか知り、孤独を徹底的に活かすことが大切です。
以降で孤独を活かす方法を解説します。
孤独は仲間を作る原動力となる
発達心理学者のジョン・ボウルピーは孤独感は人類が生き残るために発達させてきた能力だと述べています。
※『孤独の科学』(河出文庫)参照。
太古、自然の中で暮らす人間にとって群れから孤立することは外敵に襲われる可能性を高めるリスキーなものでした。そこで人間は身体的な痛みを感じて身体に迫る脅威を避けるのと同様、孤独感によって孤立する危険を避けるようになったのです。
つまり、孤独は仲間を作ることを促進する本能と言い換えることもできます。
人は孤独を感じるからこそ他人と近づいて仲を深めるのです。
孤独を悪とみなすのではなく孤独は私たちにとって欠かせない感情だと捉えるべきでしょう。
そうすると何だかエネルギーが湧いてきますね。
孤独には効用があるのです。
孤独はあなたを成長させる
孤独こそがあなたを高めるチャンスです。
人類の英知ともいえる仏教において人は本質的に孤独な存在であると教えられています。
「犀(サイ)の一本角のように、ただひとり歩め」
『ブッダのことば スッタニパータ』岩波文庫 17頁
この「犀の一本角」とはつまり1人を意味します。1人になるのを恐れるなというわけです。
そもそも、たとえ友達がたくさんいてもつながりが感じられなければ私たちは孤独だと感じます。
「自分に関心を持ってくれない」
「自分の悩みを真剣に聞いてくれない」
そんな悩みは尽きないでしょう。
仏教では孤独になることで、そんな有意義なつながりを得られない人間関係から適度に距離を置くことを薦めています。
人間関係を維持することにエネルギーを消耗するよりも自分を高めることにエネルギーを使うべきというこでもあります。
ただし、単に孤独になれと言っているわけでもありません。
前述の『ブッダのことば スッタニパータ』にはこんな言葉もあります。
学識豊かで真理をわきまえ、高邁(こうまい)、明敏な友と交われ。いろいろと為になることがらを知り、疑惑を除き去って、犀の角のようにただ独り歩め。
仏教では孤独を保ち人格の優れた人たちと交流することで自分を成長させられると述べています。
孤独は創造性を高める
アインシュタイン、ニュートン、マクスウェル、ベートーベン、トルストイ、ニーチェなどの傑出した芸術家、思想家、科学者は内向的だったと言い伝えられています。
彼らは外界とのつながりを断ち、孤独な環境で精神を集中させ創造性を発揮しました。
トルストイは「孤独なとき、人間はまことの自分自身を感じる。」
ニーチェは「孤独を味わうことで、人は自分に厳しく、他人に優しくなれる。いずれにせよ、人格が磨かれる。」
無駄にどうでもいい友達とつるんだり、出会い系アプリに時間を費やし孤独を紛らわそうとするのは辞めましょう。
自分と向き合ったり、創造性を高めるためのせっかくのチャンスを無駄にすることになります。
孤独な時間こそ読書したり、新しいことにチャレンジしましょう。
ここまで孤独の良さを語ってきました。
しかしながら、孤独は無条件に良いわけではありません。孤独と孤立は違うと心得るべきです。
※孤独と孤立は違うと心得るべし
前述した仏教が意味する孤独は人間関係を断絶する「孤立」ではありません。人格の優れた人と交流することも薦めています。
ここにある真理が隠れています。
私たちは自分たち人間が本質に孤独な存在であると認めるべき一方、他者とのつながりを断ってはならないのです。
メリーランド大学の発達心理学者ケネス・ルービンは、孤独が人にとって有意義なものとなる条件を4つ挙げています。
・自ら孤独を選択した
・孤独をコントロールできる
・望んだ時に社会的な集団に加われる
・他者と良好な関係を築く能力がある
これらの条件に当てはまらない人にとっての孤独はというと……
基本的に有害と考えてもいいでしょう。以降で孤独のデメリットについて見ていきます。
デメリット➀孤独は深刻なストレスをもたらす
シカゴ大学のジョン・カチオッポ教授は孤独が人にもたらす悪影響を調査した研究を報告しています。
孤独感でストレス反応が起きてホルモン「コルチゾール」がひっきりなしに分泌されます。過剰なコルチゾールは睡眠不足、高血圧、免疫機能の低下など健康に悪影響を及ぼします。
身体の老化が早まり心臓病、脳血管・循環器・呼吸器の疾患に罹りやすくなり死亡リスクが高まるのです。
デメリット➁孤独が自己制御力を弱める
心理学者のバウマイスターは被験者を集めて自己制御に関する心理実験を実施しました。
孤独感が自分をコントロールする自己制御力や論理思考力が低くすると判明。(※実験の後に被験者にネタ晴らしたらしいのでご安心を。)
デメリット➂酷い孤独感は人を攻撃的にする
社会学者ロバート・ワイス氏は人は孤独感を抱くと仲間を作ることに積極的になったり、他者を好意的に見ようとすると言います。これは他者とつながりを作ろうとする人間の本能であり、ポジティブな反応と言えます。
しかし、孤独感が酷くなると話は変わってきます。
ワイス氏は孤独な状態が長引いている人は、寄付をしたり見知らぬ人を助けることに消極的になったり、他者に批判的になると言います。
「孤独の科学」(河出文庫)においてシカゴ大学のジョン・カシオッポ教授も孤独な人はネガティブで「他人や社会が悪い」など被害者意識が強くなると指摘しています。
大事なので繰り返しますね。
私たちは自分たち人間が本質に孤独な存在であると認めるべきな一方で他者とのつながりを断ってはならないのです。
なぜなら、一度はまると抜け出せない「孤独スパイラル」に陥るからです。
周りの人はネガティブで被害者意識が極端に強い人をどう取り扱うか?
基本めんどくさいから相手したくないですよね。
孤独な人には他者が寄り付かなくなり孤独はさらに深まっていきます。
孤独にさいなまれてネガティブになる→誰も相手してくれない→孤独が深まる→孤独になってネガティブになる
まさに「孤独スパイラル」です。
最近、ブームとなった孤独を薦める本『極上の孤独』(下重暁子)
実際、極上の孤独(下重暁子)に対してはこのような読者レビューが…
他人に頼らずに強く生きましょう、独りの時間も楽しいですよ みたいな内容でした。
作者は旦那さんもいてその方は理解ある方みたいですし、長年付き合ってる親友や新しく友人になった若い人たち、尊敬をしてくれている仕事仲間もたくさんいるリア充です。
家族もいない、友人もいない、仕事仲間もいない、そんな独りぼっちの「孤独」の方にはこの本は推薦しません。
出典:『極上の孤独』 Amazonカスタマーレビュー
このようなレビューを見るにつれただ単に孤独の良さを薦めるのは無責任なのかもしれません。有意義な他者とのつながりの重要性についても周知されべきではないかと考えさせられます。
有意義な他者とのつながりを得るためには冒頭で前述したように私たちはみんながみんな本質的には孤独な存在であることに思いをはせることが大切です。
孤独の処方箋ー自分が孤独であることを認め、他者に手を差し伸べる
「孤独の科学」ではつながりを3つに分類し、それぞれのつながりを強化することを提唱しています。
➀個人的なつながり
個人的に自分を支持してくれる親友や恋人などの親密な人とのつながり
➁関係的なつながり
友人や家族などの広い範囲の人とのつながり
➂集団的なつながり
大学、職場、サークルなど特定の集団に帰属するというつながり
この3つのつながりをバランスよく作ることを意識するのです。
仕事ですが、僕は海外に住み始めてから現地でも自然とつながりを作るように行動していたように思います。
➀個人的なつながり
定期的に会う現地の友人
➁関係的なつながり
連絡を取り合う数人の現地の友人、現地に住む日本人の友達
➂集団的なつながり
サルサダンスサークル、ヒップホップダンスサークル、アパートの大家が招待してくれる定期的パーティーへの参加
つながりを作るうえで大事なのは自分が孤独であると素直に認めることだと僕は思っています。
自分が孤独でないと意思を張ったり、孤独を否定する必要はありません。
私たちは孤独であるという点においてお互いに共感しあえるのですから。
個人的にはサルサダンスを習ってみるのはかなりおススメです。
サルサダンスの良さについては別記事