WebマーケティングはIT業界の中でも未経験が入っていきやすい職種です。
Webマーケターとして適性があると見られたり過去の仕事の経験から類似スキルがあると判断された場合には比較的すんなり採用されます。
20代だと営業や販売、Webデザイナー、Webエンジニアなどその他の職種からWebマーケターに転職する人なども増えています。
筆者は「探求心、好奇心を持ってユーザーの行動データを分析したり人間の心理や行動を観察できるか」がWebマーケターとしては最も重要な資質だと考えます。
結局、人の心が動くときに商品やサービスは購入されます。対面でのセールスであれWebサイトの画面を通してであれ「人の心」が重要なのです。
本記事ではWebマーケターの仕事内容、年収、向いている人、未経験から転職する方法について解説します。
Webマーケターの仕事内容
そもそもWebマーケターが一体何をしているのか知らない人もいるかもしれません。まず最初にWebマーケターが担当するWebマーケティングの仕事内容について解説します。
Webマーケティングとは「インターネット上で消費者との接点を作り、自社商品サービスへの認知度を高めたりブランドイメージを形成し購買につなげること」です。
この目的を達成するには大きく分けて以下の2つを実行していきます。
①集客施策を企画・実行する
②Webサイトの改善を行う
①集客施策を企画・実行する
Webサイトに人を呼び込む集客施策としてSEO対策とインターネット広告を実施します。
①SEO対策(検索エンジン最適化)
②インターネット広告(リスティング広告、アフリエイト広告、ディスプレイ広告、SNS広告)
①SEO(検索エンジン最適化)
SEOとはWebサイトのページをGoogleやYahoo!などの検索エンジンで上位表示することで多くのアクセスを集める手法です。
②インターネット広告運用
インターネット広告は検索結果の真下や横、ポータルサイトなどユーザーの目に入りやすいところに広告を表示し集客する手法です。
インターネット広告は大きく分けると3種類ありそれぞれの特性に合わせて使い分けます。
3タイプのインターネット広告
リスティング広告:GoogleやYahooなど検索結果画面の上部に表示する広告。顕在化したニーズをすくうのに適している。
ディスプレイ広告:ポータルサイトのトップページ、提携サイトに表示する広告。潜在的なニーズをすくうのに適している。
SNS広告:SNSのタイムラインなど画面上に広告する広告。潜在的なニーズをすくうのに適している。
②Webサイトのアクセス解析・改善を行う
Webマーケティングでは集客施策を実行するのみでなく施策の効果を計測・分析してパフォーマンスを改善していくためのPDCAを回すことが重要です。
特にWebマーケターとしての力量が問われるのはこのWebサイトのアクセス解析・改善です。
特に「CV率(Webサイトへのアクセスのうち購買や申込みに至る率)を上げる」のはWebマーケターの腕の見せ所と言っても良いです。
アクセスを増やすだけならインターネット広告の予算を増やしたりガンガンお金をかけて人海戦術でコンテンツを投入することで検索上位を狙っていくことが可能です。
しかしWebマーケターとしての力量はアクセスを増やすよりもCV率を上げられるかどうかにあると言って良いでしょう。
CV率を上げる方法としては以下のようなやり方が一般的です。
①アクセスが沢山あるのにCV率が低い(≒購買や申込みが少ない)ページ
②アクセスが少ないもののCV率が高い(≒購買や申込みが多い)ページ
をGoogleアナリティクスなどの分析ツールで特定していきます。
そして、アクセスは沢山あるもののCV率が低い(≒購買や申込みが少ない)ページからアクセスが少ないもののCV率が高い(≒購買や申込みが多い)ページへとユーザーを誘導します。
こうすればさらに多くの購買や申し込みを獲得できる可能性が高いです。
例を挙げましょう。
たとえば「ライザップ 口コミ」というキーワードで書いたページはアクセスが沢山あるのにCV率が低いことが判明。
一方で「ライザップ 無料体験レビュー」というキーワードで書いたページはアクセスが少ないもののCV率が極めて高いと判明しました。
そこで「ライザップ 口コミ」のページから「ライザップ 無料体験レビュー」のページへユーザーを誘導します。すると購買や申込が増える確率は極めて高いです。
Webマーケターはユーザーがどのようにサイトを使用し、どのような行動をサイト上でとっているかGoogleアナリティクスなどの分析ツールを使って確認し購買数や申込数を上げていくのです。
Webマーケターの年収
20代前半 | 341万円 |
20代後半 | 414万円 |
30代 | 485万円 |
40代以上 | 550万円 |
転職会議の調査によるとWebマーケターの平均年収は全世代平均で432万円と判明しています。
現在、マーケターの中でもとりわけWebマーケティングに精通しているWebマーケターは多くの企業の需要があります。
Webマーケターが勤務する企業は大きく以下の2タイプの企業に分かれます。
・広告代理店
広告代理店はクライアント企業のインターネット広告運用を代行する企業です。
広告代理店で働くWebマーケターはクライアント企業のリスティング広告やSNS広告の代行支援をしたり特定領域に特化する傾向が強いです。数多くのクライアントの案件の特定領域を担当するので特定領域の専門スキルを高めやすいです。
・事業会社
自社でWebサービスを運営したり商品を販売している事業会社です。
事業会社のWebマーケターは自社商品・サービスの長期的なブランド戦略やリピーター獲得に向けた施策など幅広い業務に関与します。そのためマーケティング施策全体を一元的に管理するスキルが身につきやすいです。
現在、Webマーケティングを外部に外注するのではなく自社で運用したい、つまりWebマーケティング部門を内製化したいと考えている事業会社が増えています。
対面営業を中心に販促活動を展開していたものの営業部門では接点を持ちにくい企業への販路を開拓するためにWebマーケティング部門を新設する企業も増えています。
この様なWebマーケター需要が増加しているので「広告代理店・事業会社が内製化したいマーケティング施策領域の専門スキルを持っている」のであれば年収600~800万円を狙うことも可能でしょう。
基本はスキルセットや能力によって年収が決定します。以下の年収ピラミッドをご覧ください。
Webマーケターの年収は専門性が高まったり経営寄り、マネジメントサイドに行けば行くほど給料が上がりやすいです。
企業規模によりますがレベル別のマーケターの年収相場は以下です。
人材レベル | 経験年数 | できること | 年収 |
レベル1: 新人・見習い社員 | 0~1年 | 仕事を覚える | 300~400万円 |
レベル2: 特定業務の担当者 | 半年~2年 | 担当業務を1人でこなせる | 300~400万円 |
レベル3: 専門家 | 2~5年 | SEO、リスティング広告、SNS広告など特定領域への深い知識があり成果を出せる | 450~600万円 |
レベル4: リーダー・マネージャー | 5年~ | 制作のこと開発のことも分かっていて関係各所と折衝しながら施策を推進できる | 600~800万円 |
レベル5: マーケティング 責任者(CMO) | 8年~ | マーケティング施策の効果最大化のための施策を経営視点から取捨選択できる | 1000万円~ |
未経験から年収を上げるにはキャリアの最初の段階でSEO、リスティング、SNS広告など自身の明確な強みとなる専門性を高めることに注力すべきです。
「SEO対策ならあの人」、「リスティング広告ならあの人」「動画広告ならあの人」と認知されるのが理想です。
Webマーケターのキャリアプランの王道をお伝えしておきましょう。
広告代理店でリスティング広告やSNS広告など特定領域の専門性を高めます。専門家のレベル3まで到達したうえで事業会社に転職します。
この場合、世間的には無名の中小広告代理店から大企業や外資系のWebマーケターに転職する下剋上も見られます。
事業会社では幅広くマーケティング施策を管理したりプロジェクトをマネジメントができるレベル4のリーダーになることを目指します。
マネジメントができるレベル4になると年収1000万円も視野に入ってくるでしょう。
企業からの採用需要は今後も確実に増加することが間違いない魅力あるWebマーケター職ですが一体どの様な人に向いているのでしょうか。以降で解説していきます。
Webマーケターに向いている人
PDCAを回せる人
Webマーケターになると「PDCAを回す」というフレーズを腐るほど聞くことになるでしょう。
PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」の略です。
現状のWebサイトが抱えている課題を解析して改善策を計画し実行しそのパフォーマンスを確認したらさらにまた改善していきます。
このPDCAを回すのが苦でない人にWebマーケターは向いています。
自分でどんどん主体的にやっていける人
振られた仕事だけやっていればいいやと受け身の人はWebマーケターはきついでしょうう。
Webマーケターの仕事ではクライアントのWebサイトや広告運用のパフォーマンス「自分事」としてPDCAを回し続けられなけばが厳しいです。
数字に強い人
Webサイトのアクセス解析では常に数字に触れますし、広告運用にしてもパフォーマンスを改善するには数値データを見ることになります。
特定のキーワードでアクセス数が減っている。いったい理由は何だろう。季節か?商品が飽きられ始めたか?
数字を見てあれこれ推理したりする分析するのが好きだったり統計分析ができるまで行かなくても良いですが算数が苦でない人にWebマーケターは向いています。
好奇心旺盛な人
お客さんの気持ちや感情の動きに興味が強かったり探求心が旺盛な人もWebマーケター向きです。。
お客さんがなぜその商品やサービスを購入したのか、どんな時に心が動いて商品やサービスを購入するのか、そういった心の動きを探求することが楽しい人にWebマーケターは向いています。
未経験からWebマーケターに転職する方法
①ブログを運営する
Webマーケターの仕事内容とブログ運営は被っている部分があります。
ブログでアクセスを集め稼ぐには記事を企画し執筆しリライト(書き直す)必要があります。本気のブログ運営者だとGoogleアナリティクスでアクセス解析したりCV率を向上させるPDCAを回しさえします。実はこれ筆者自身なのですが…
稼いでいるブログ運営者だとどのページにどれだけのアクセスがありCV率(商品・サービスの購買率)はどれくらいかま解析しています。実際、筆者も常にアクセス数を解析してコンテンツを作り替えたり拡充したりしています。
ブログに本気で打ち込むと探求心を持ってPDCAをガンガン回していくことになります。
また場合によってはWebサイトで使うコンテンツのデザインやロゴをWebデザイナーに発注したりWebサイトの機能をカスタマイズするためにWebエンジニアに仕事を依頼することもあります。これはそのままWebマーケターの仕事に重なる部分です。
Webマーケターに求められる経験値がブログ運営で貯まるわけです。
ただブログ運営は何せ成果が出るまで時間がかかります。
Webマーケターに転職する際のアピール材料となるブログ運営実績としては少なくとも月間PV数1万は欲しいです。完全初心者からだと半年くらいかかるでしょう。
筆者の経験ですがPV数5万PVを超えてくると企業からの食いつきは相当に増してきます。
②Webマーケティングスクールで学習する
ブログ運営だけでつくスキルはWebマーケターに求められるスキルセットとしては不完全です。
ブログ運営だとSEOは習得できるもののインターネット広告運用はつきづらいです。
そのためインターネット広告運用を習得できたり広告の戦略立案ができるWebマーケティングスクールを利用するようにしましょう。
IT業界の雄DMMが運営するマケキャンだと学習を修了した人に就職先を紹介してくれます。
③いきなり転職エージェントを利用してみる
いきなり転職エージェントに登録するのもありと言えばありでしょう。
ただし求人に対する目利きができないのでキャリア形成上のリスクがあります。
ブログ運営歴もなく勉強したことがなく全く知識・経験がないとどのようにWebマーケターとしてキャリアを形成すれば良いか戦略も立てれません。
ただ「勉強うんぬんより現場で働きながら経験を積みたい」という人もいると思います。
そういう人は求人サイトではなく転職エージェントを利用すると良いでしょう。
求人サイトには「マーケティング未経験者歓迎」という求人はそこまでないです。
「マーケティング未経験者歓迎」の求人でよくあるのがWebマーケターと言っているのに営業も兼務させられるパターンです。
もちろんそれはそれで経験になりますが電話アポをひたすらクライアントにする営業だけやらされるケースもあります。
転職エージェントだと担当者にWebマーケターの適性があるとみなされた場合はしっかりWebマーケターの求人を紹介してもらえます。
転職エージェントだと
「マーケティング未経験歓迎」
「リスティング広告運用の経験が積める」
「SNS広告運用の経験が積める」
など自分が目指すWebマーケターのキャリア形成を実現できる確度が高い求人を中心に紹介してもらえます。
特に広告・マーケティング系の求人が豊富だったり担当者が広告・マーケティングに知識豊富な転職エージェントを利用するのをおすすめします。
リクルートエージェント:求人数約31万 でエージェント業界最大手です。Webマーケターの求人も豊富です。
マスメディアン:マーケティングや広告求人に特化しています。マーケティング関連の専門誌「宣伝会議」のグループ会社だけあって専門性が高いです。
GEEKLY(ギークリー):メガベンチャー系の非公開求人が多いです。
以下記事ではWebマーケティングを独学する方法についてより詳しく解説しています。
Webマーケターへの転職に役立つ資格について解説しています。
Webマーケターに向いている人について解説しています。